2019年9月、10月に携帯・スマホ業界で起こることをおさらいしてみよう

2019年の携帯・スマホ業界は大きな動きのある年になりそうです。6月にはドコモ、auから新プランが登場したりもしましたが、総務省の介入の影響(分離プランの義務化など)もあり、9月、10月は大きく激変する月になってしまいそうです。
そこで、今回は2019年9月、10月に携帯・スマホ業界で起こることをおさらいしてみようと思います。
ソフトバンクなどの新プラン発表や新型iPhoneの情報が出てきたので、少し内容を加筆しました。
発端は総務省の分離プランの義務化
2019年の9月、10月の携帯・スマホ業界が大きな変動のある年になってしまった大きな要因として分離プランの義務化が大きく影響しています。
総務省がスマホの回線と端末のセット販売によって割引の恩恵をあずかれる人に偏りがあり、恩恵にあずかれない人にとっては料金が割高になり、不公平と判断し介入したことから始まり、電気通信事業法の改正が行われ、2019年10月から施行されます。
電気通信事業法が改正されることで利用者側に影響がありそうなものとしては主に以下の3つのことができなくなります。
■電気通信事業法が改正されることでできなくなること
- 通信料金と端末料金との継続利用を伴うセット販売
通信役務の継続利用及び端末の購入等を条件として行う利益の提供はNG - (キャリアと販売店合算で)通信料金とのセット契約による端末料金の2万円以上の割引
2万円以下の機種購入の場合は機種代以上の割引はNG
(例外:廉価端末、新規契約の受付が終了した通信方式のサービス利用者が新たな通信方式に移行するために購入する端末等、在庫端末については特例あり) - 2年より長い契約期間の縛りを入れること
1,000円より多い違約金の設定や期間縛りを入れない場合の月額料金の差額が170円より多い価格差を付けることもNG
※違約金が無い場合は2年以上の縛りを入れることは可能

最初の二つは「1号禁止行為」というもので「通信料金の割引、端末代金の値引き等の禁止」にあたるものです。最後の一つは「2号禁止行為」というもので「行き過ぎた期間拘束の是正」にあたるものです。
↓参考情報
総務省公式:電気通信事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備について(PDFファイル)
すべての携帯会社・機種が対象ではない
このルールは、すべての携帯会社が守る必要があるわけではなく、
MVNOのうち移動電気通信役務の利用者の数の割合が0.7%以下の携帯会社
についてはこのルールの対象外になり、かなり多くのMVNOについては対象外になっています。
■ルールを守る必要のある携帯会社(2019年6月時点)
- NTTドコモ(ドコモ)
- KDDI/沖縄セルラー電話(au)
- ソフトバンク(ソフトバンク・ワイモバイル)
- 楽天モバイル(楽天モバイル)
- UQコミュニケーションズ(UQモバイル)
- インターネットイニシアティブ(IIJ)
- オプテージ(mineo)
また、スマホ以外の機種(ケータイ・フィーチャーフォンなど)については、端末代金の値引きと2年縛りのルール適用は2019年末までは猶予期間があり、2020年からルール適用になります。

期間縛りによるメリット・特典・ペナルティを従来よりも大きく減らし、サービスが良さそうな携帯会社にかんたんに移動できる環境を整えたい思惑がありそうです。
代わりにスマホ本体の端末代は割引が効かなくなることで、割高に今後はなりそうです。
2019年9月に起こること
2019年9月に携帯・スマホ業界で起こることとしては以下のことがありそうです。
新型iPhoneの発表・発売開始
毎年の恒例行事みたいになっていますが、9月上旬に新型iPhoneの発表があり、9月下旬から発売を開始する流れになっています。年々iPhoneの価格が高騰していますが、今回の価格がどのくらいになるかとても気になるところです。

後半でも触れますが、今年のiPhoneについては、端末代の割引額が2019年10月以降は少なくなるはずなので、今回の新型iPhoneはいままで以上に高い買い物をする感覚になるのではないでしょうか。
iPhone11などが2019年9月20日より発売
今回の新型iPhoneは以下の3種類で、2019年9月20日より発売します。
- iPhone11
(6.1インチディスプレイ、デュアルカメラ) - iPhone11 Pro
(5.8インチディスプレイ、トリプルカメラ) - iPhone11 ProMAX
(6.5インチディスプレイ、トリプルカメラ)
肝心な価格ですがApple(SIMフリー)の場合(予約受付開始は9月13日21時から)
●iPhone11販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 74,800円 |
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128GBモデル | 79,800円 |
256GBモデル | 90,800円 |
●iPhone11Pro販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 106,800円 |
---|---|
256GBモデル | 122,800円 |
512GBモデル | 144,800円 |
●iPhone11ProMax販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 119,800円 |
---|---|
256GBモデル | 135,800円 |
512GBモデル | 157,800円 |
iPhone11は10万円を切るモデルになりましたが、iPhone11ProとiPhone11ProMaxについては昨年のiPhoneXS、iPhoneXSMaxと同じくらいの価格帯で10万円を超える非常に高額な機種になっています。
今回のiPhone11発売に伴い、昨年発売のiPhoneXSとiPhoneXSMaxのAppleでの販売は終了し、iPhoneXRとiPhone8とiPhone8Plusについては価格を下げての販売に変わります。
●iPhoneXR販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 64,800円 (改定前価格:84,800円) |
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128GBモデル | 69,800円 (改定前価格:90,800円) |
256GBモデル | 販売終了 (改定前価格:101,800円) |
●iPhone8販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 52,800円 (改定前価格:67,800円) |
---|---|
128GBモデル | 57,800円 (iPhone11発表会後発売開始) |
256GBモデル | 販売終了 (終了前の価格:84,800円) |
●iPhone8Plus販売価格(税抜)※Apple(SIMフリー)の場合
64GBモデル | 62,800円 (改定前価格:78,800円) |
---|---|
128GBモデル | 67,800円 (iPhone11発表会後発売開始) |
256GBモデル | 取扱終了 (終了前の価格:95,800円) |

Appleで販売するSIMフリーのiPhone8の定価はかなりお手頃価格にはなった感じです。発売は2年前の機種ではあるものの、性能面では現在でも十分快適に利用できる端末なので、iPhoneでも安い端末が欲しいという場合には、iPhone8をオススメします。
ただ、かつては一部の携帯ショップでは「iPhone8が一括0円」で購入できる時代もありましたが、今回の法改正で一括0円で手に入れることはできなくなるはずなので、端末代が全体的に高くなる流れは変えられないかなといった印象です。
消費税増税前(8%)の最後の月
2019年10月から消費税が8%から10%に増税になります。高額なスマホ機種を購入したりすると消費税2%の違いでもかなりの金額の差が出てくるようになります。

近々スマホ機種の買い替えを検討している場合には9月に済ませてしまうのも端末代金の節約につながる可能性はありそうです。
(利用期間やタイミングによっては契約解除料や現在支払中のスマホ機種の購入代金残債の支払いとのバランスはありますが…)
特に高額になりそうな新型iPhone購入は9月に集中してくるかもしれません。
新プランの登場
総務省の分離プランの義務化にともない、現状の料金プランでの販売継続が困難になるため、iPhone発売のタイミングと連動するような形で、主要な携帯会社の場合、新プランが色々登場するのではないでしょうか。
スマホの新プランについては、以下の条件を満たす形に基本的にはなってくると思われます。
- 契約期間は最大2年間で自動更新なし
- 期間縛りの契約解除料は1,000円以下
- 期間縛りの有無によるプランの月あたりの価格差は170円以下
第1弾は「auデータMAXプラン Netflixパック」が登場
新ルールに準拠したプランとしてauから「auデータMAXプラン Netflixパック」が登場しました。利用開始は2019年9月13日から。

このプランの契約解除料は1,000円で2年縛りの有無による月額料金の差額は170円と総務省提示の条件の最大金額で設定した料金プランになっています。
auデータMAXプラン Netflixパックについて詳しく知りたい方は別の記事で解説しています。
↓auデータMAXプラン Netflixパック徹底解説ソフトバンクは2年契約なし、契約解除料のないプランに刷新
auの発表に続き、ソフトバンクでは2019年9月13日から2年契約なし、契約解除料のないプランに刷新し、総務省の規制よりもさらに踏み込んだプランを投入してきました。
それに伴い、いままでの2年契約や契約解除料があるプランやキャンペーン・割引サービスについては2019年9月12日までで新規受付を終了します。

詳しくは関連記事の中で解説していますが、現在の主力プランである、ウルトラギガモンスター+、ミニモンスターを利用している人にとっては2年契約や契約解除料の制約を外したものの月額料金は実質変わらない新料金プランとなっています。
ワイモバイル、楽天モバイル、UQモバイルも契約期間・契約解除料なしのプランを2019年10月から開始
ソフトバンクの新プラン発表後、ワイモバイル、楽天モバイル、UQモバイルも契約期間の縛りや契約解除料のかからない新プランを発表。2019年10月1日から開始します。

ソフトバンクの新料金プランとは異なり、月額料金は従来のプランから月額料金に変動があります。(後日それぞれの料金プランの解説記事を書く予定です。)
一部のキャンペーンが終了する
総務省の意向に沿わないキャンペーンが9月末までに終了する流れになります。公式で発表されている終了予定のキャンペーンは以下のものがあります。
ドコモ
- ギガホ割
(2019年9月30日まで) - 【オンラインショップ限定】スペシャルキャンペーン
(2019年9月17日まで)
など
au
- アップグレードプログラムEX/EX(a)
(2019年9月30日まで) - アップグレードプログラム
(2019年9月30日まで) - アップグレードプログラム(a)
(2019年9月30日まで) - アップグレードプログラム(ジュニア)
(2019年9月30日まで) - アップグレードプログラム(タブレット)
(2019年9月30日まで) - 家族割プラス スタートキャンペーン
(2019年9月30日まで)
など
ソフトバンク
- 機種購入サポートや半額サポートなど、縛り期間のある各種割引・キャンペーン
(2019年9月12日まで) - ギガ使い放題キャンペーン
(2019年9月30日まで)
など
各販売店の独自キャンペーン
- スマホ1回線あたり2万円以上還元される販売店独自キャンペーン
2019年10月に起こること
2019年10月に携帯・スマホ業界で起こることとしては以下のことがありそうです。
端末代金が全体的に割高に
10月から改正版の電気通信事業法が施行され、割引は上限2万円のルールが適用されることで、端末購入サポートにあたる「アップグレードプログラムEX/EX(a)」や「半額サポート」が利用できなくなり、ショップ独自キャンペーンも例外ではなく高額キャッシュバックが無くなるはずです。
新しいスマホ機種を購入する場合、同じ端末だとしても全体的に割高になってしまうことは避けられません。
ハイエンドモデルからミドルクラス以下または中古端末ニーズに?
いままでは高額の端末代の割引があったため、高性能な高額スマホ端末でも、購入できる環境にありましたが、2019年10月以降は、気軽に高額なハイエンドスマホの購入はなかなか手を出しづらくなると思います。
そうなると長期間利用して、完全に壊れたら機種変更する形になると思いますが、スマホにつきもののバッテリーの寿命が早い問題などもあり、白物家電のように購入後10年以上利用を続けるといったことも非常に困難なので、数年で新機種を購入せざるをえなくなる瞬間は発生すると思います。
その時のスマホ機種の候補としては、2~4万円程度のエントリータイプ~ミドルクラスのスマホを選択し、さらに最大2万円の割引を受け端末代負担を少しでも減らすか、比較的安価で購入できる中古端末を購入するといったニーズが高まってくるのではないでしょうか。
消費税増税(10%)
2019年10月から消費税が10%なります。割高になってしまうスマホ端末の購入については、買い控えや機種変更までの期間が長期化することが予想されます。
増税は機種代だけでなく、回線利用料も対象なので、次回の更新月のタイミングで安価な携帯会社や料金プランに変えていき、徐々に契約解除料が1,000円以下の人が増えるにつれ、流動性がある程度加速されるのではないでしょうか?

携帯・スマホ料金は複雑だと思い、理解を敬遠してしまい、携帯料金は高くても、継続して利用し続ける人もかなりの人数存在しているはずなので、誰もが気軽に携帯会社や料金プランを変更するという状態にはならないとは思います。
情報強者はより速度重視の5Gとより安価な4Gを求める層に分かれそう
ある程度、スマホ・携帯に関する知識がある情報強者の方は、今後サービス開始する非常に高速な5Gを積極的に利用する人の層と速度よりもコストパフォーマンスを追求したMVNOも視野に入れた4Gサービスを利用する層の2つの層に住み分けしていく流れになるのではないでしょうか?
まとめ
総務省が介入した結果、分離プランが義務化することになり、2019年9月と10月は大きく携帯・スマホ業界の変動の月になりそうです。
10月以降は、通信料金はより安価になってきそうですが、逆に端末代金は非常に割高になってしまうため、機種購入や携帯会社・プラン変更のタイミングを見誤らないよう注意しましょう。
いかがでしたでしょうか?
また、次回もお楽しみに!